荷物をおいて

気付いたらいろんなものを背負っていたと思う。

ほかのひとの人生とか、生活とか。

 

サラリーマンとして会社に出勤していたころは毎日12時頃の終電に間に合うように、駅まで走って帰るのが当たり前だった。

 

おまけにかなりの肉体労働で、部活か。ってくらい走り回って汗をかくし、お昼ご飯も抜いて夜中まで働くのが常だった。終わらない繁忙期に感覚も麻痺して、それがいつの間にか当たり前になっていた。

 

でもそれでよかった。

自分が身を粉にして働いて、一緒に働く人たちの生活を守っているつもりだったから。どんなに疲れていても遅くなっても、今日も会社を守れたぞ!みたいな、謎の使命感に駆られていた。人間ひとりができることは限られているのに、限界なんてないような気になっていた。

 

「いつもがんばってるねー!」「大変だね。がんばってね」

そう言われ続けていたら、暗示のように「自分はいつも頑張っている人」っていうキャラでいようとしていたような気がする。最終的には10分のお昼休憩でさえ、ご飯を食べているところをだれかに見られると「あ、今日は休憩取って余裕だな」って思われる気がして落ち着かない。

 

今考えると、ぞっとする。

 

「周りの人を大切に・親切に」も大事だけど、「自分のことも大切に」

荷物をおいて、ようやくそう思う。

 

子供たちにはそう伝えていこう。

 

ぼーっとしたっていいじゃないですか。迷惑のかからない程度で。